経費削減はドツボへの入り口かも…
- 知らなきゃ損するマーケティングのお話
- 2022-09-12
メディカルコンテンツ株式会社 代表 田中 巧
つい先日、うちの会社に一本の電話が入りました。その電話は、つい数か月前にニュースレターを始めた経営者さんからでした。
その方は元気のない暗い声で、「最近、なんだかお客さんが減ってきた…」「ニュースレターを出しても効果が出ているかどうかわからない…」「すみませんが、経費削減のため今回で止めさせてもらいます」このようにお話しされ、志半ばでニュースレターを止めてしまいました。
売り上げが低迷すると、誰でもついつい「経費削減」に走りたくなるもの。そのお気持ちはよくわかります。
例えば、広告宣伝をやめたり、スタッフをリストラしたりして何とかしのごうとしてしまうものです。しかし、実はこれが「ドツボへの入口」だったりします。
目先の利益にとらわれ、ドツボにハマってしまう経営者さんって意外に多いのかもしれません。ではなぜ、こういった「コストカット」はダメなのでしょう?
出て行く経費を抑えれば、手元に残る利益は増える。だからコストカットは、経営においては良いことじゃないか!一見こう思いますよね?ただ、もしあなたもこう思っているようなら、それはもうハマっているのかもしれません。
こんな場合を考えてみてください。例えば、経費削減を考えてスタッフ全員を解雇し全部ひとりでやることにしたとします。当然、人件費が丸々浮きますから利益は増えます。なので、数字の上では業績が盛り返したように見えるでしょう。しかし、この利益は目先のその場しのぎでしかありません。
もし仮に、あなたが怪我をしたり、病気になったりしたらどうしますか?それだけでお店は回らなくなるでしょう。経費を抑えると利益は増えるかもしれませんが、何かイレギュラーなことがあった時に全く対応できなくなってしまいます。
また、たとえケガや病気にならなかったしても、あなたは日常業務で手一杯になっていますから、経営においてとても重要な「集客」や「リピート戦略」に全く手がつけられなくなるのではないでしょうか?
そうなると、今は良いかもしれませんが、次第にだんだんお客さんの数は減ってしまいます。つまり、その場しのぎのコストカットは「先細りへの入口」なのです。
では、業績が低迷してしまった時、何をすることが正しいのでしょうか?
それは、コストカットはあくまでも応急処置と考え、大事なのは「粗利益を増やす対策」を打つことです(ちなみに、粗利益とは「売り上げから原価を引いた額」のことで会計上では売上総利益とか限界利益なんて呼ばれることもあります)。
では、この粗利益を増やすにはどうすればいいのでしょうか?それは「売り上げを上げる」しか方法はありません。これはどんなビジネスでも不変の真理です。
そして、売り上げをアップさせる手段としてできることといえば「リピート率を上げる」「単価を上げる」「新規客を増やす」の3つしか道はないのです。
もし、あなたのお店の業績がいまひとつで経費削減に走っているとしたら、それは将来の自分の首を絞めていることと同じです。
もちろん、必要のない経費をしっかり見極めそれを抑えることは急務ではあります。しかし、将来に関わる上の3つのことに注力してできるかぎりの費用をそこに集中することが、再浮上できるか、それとも低迷の一途をたどるかの分かれ道になるのかもしれません。